インプラント治療にリスクはあるのか?
近年はサージカルガイド(インプラントの入れる方向・深さなど細かく設定されたマウスピース状のもの)を用いてインプラントを埋入する技術(フラップレス手術)により「虫歯の治療よりも簡単」などと言われるようにもなりましたが…それでもリスクがある手術だということは覚えておくべきです。
治療(手術)中のリスク
- 骨に穴を開ける際、方向を間違えると他の健康な歯や骨を損傷させてしまう
- ドリルの回転数が早すぎると、骨が摩擦で壊死してしまいインプラントが結合しない
- 歯茎の血管や神経にぶつかり、麻痺が残ったり大量出血が起こる
- ドクターの技術が未熟ゆえの失敗
昔は歯茎を切開する方法が一般的だった為インプラントができる歯科医院は限られていましたが、現在はフラップレス手術が浸透し、小さな町の歯科医院レベルでもインプラントに対応してくれるようになりました。
しかしその一方で、厚生労働省の調査では「歯科医師の4人に1人は神経麻痺などの重い症状を引き起こした経験がある」という結果が。大学病院やインプラントの名医に助けを求める数も増え続けています。
自分が失敗症例に当てはまらないためにも、医師の技術や症例数はきちんと確認しておく必要があります。
治療(手術)後のリスク
埋入手術後に腫れる
歯茎を切開する方法はもちろん、フラップレスでも当該箇所の歯茎をくりぬく必要があるため、歯茎は多大なダメージを受けています。
埋入手術後はダメージを受けた場所が腫れたり、内出血(時には内出血が歯茎から顔側に回り込み、顔の一部が紫色になることもある)などするのが一般的です。
基本的には時間が経てば腫れは引いて落ち着いていくものですが、あまりにも引かない場合や生活に支障がある場合、事前にカウンセリング等で説明された腫れとあまりに異なる場合は執刀医に相談すべきです。
インプラントの脱落
インプラントを固定しているスクリュー(歯茎に入っているネジ状部品)、またはアバットメント(スクリューと義歯を繋ぐ部品)を固定する部分が緩んでくる事があります。インプラントの手術環境・器具が細菌感染していたり、消毒不足、歯周病、唾液による汚染があった場合など、挿入して数週間で抜け落ちてしまうケースも。
また、インプラント部分はトラブルが起きやすく、ケアを怠ると「インプラント周囲炎」という状態になりインプラント周辺の骨が体内に吸収されて抜け落ちてしまいます。
インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフオーラルケア、そして定期的な歯科医院でのケアが必須なのです。
義歯の破損
天然歯の周りには「歯根膜」という薄い膜が存在しており、噛んだときに歯を傷つけないようにクッションのような役割をしていますが、インプラントは歯骨としっかり結合するためその膜の働きを再現するのは難しいです。そのため、歯軋りや喰いしばり、噛み合せ等の影響で過剰な力が加わると義歯が破損・脱落してしまうのです。
少し欠けただけの場合は研磨するのみ、大きく欠けた場合は修理用のセラミックで直す、もしくは再度上部構造を作成することが必要になります。